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第45回 日本診療情報管理学会 学術大会 参加報告 (inグランフロント大阪)

2019年9月25日

2019年9月19-20日に日本診療情報管理学会学術大会へ参加してまいりました。

<大会テーマについて>
 「あしたを担うInformation Literacy」、つまり、「情報を使いこなす」診療情報管理士の未来へ向けた方向性を示しております。診療情報という視点から、医療・医学への貢献や病院運営への貢献への期待が込められているように感じます。

<各演題について>
 昨今のAIやICT、IoTといった最新の研究もさることながら、大学病院以外の病院においても既存の技術を用いた業務改善への取り組みは活発で、特にシステム化(デジタル化)などにより扱える情報が増えているという背景もあるものと感じられます。扱える情報が増えると分析も煩雑になるものと考えられ、今大会テーマである” Information Literacy”「情報を使いこなす」ということが如何に重要かがわかります。
 現在の診療情報管理業務には、登録や分析(統計資料の作成)等といったアナログからデジタルへの変換にあたる業務が多く存在しています。AIやIoTによるデジタル化や効率化が進めば、分析や研究といった新たな医療医学への貢献の形が一般的になる日も遠くはないのかもしれません。あるいは、煩雑化する情報を扱う担当者としての専門特化もしていく可能性があります。医療費増加と人口減少(=労働人口減少)という将来への懸念もあり、AIやIoTなどを用いた効率化によって乗り越える必要があります。情報を使いこなし、より多くの診療情報管理士の方が病院運営に貢献できることが望まれます。

<生涯教育研修会について>
 学会2日目に同会場内で開催された生涯教育研修会において、テーマを「ICTを活用した地域医療連携~現状と課題、将来展望~」として、和歌山地域医療情報ネットワーク協議会理事長の入江真行先生のご講演を拝聴しました。
 現在の地域医療情報ネットワークの状況として、全国で270を超えるシステムが存在し、平均5.8年の運用と参加施設平均124施設、稼働継続中のものは約6割であるとのことでした。サーバ更新や運用に係るコストを継続的に回収することができず、持続できない状況が少なくないそうです。また、診療情報の共有に対する考え方についても、情報提供する側が費用を負担している現状に不満を抱いているとのことで、患者利益についての理解と周知により利用拡大を目指していきたいとのことでした。情報共有に対する双方のメリットの拡大も同時に必要と感じられます。患者同意やセキュリティポリシーの取り扱いについての見解も様々であり、数多のシステム間の互換性や規格の設定など、大規模化へと向けた課題をクリアしていく必要があります。運用面の課題として同一患者をどのように連結させるかという問題があり、同一患者の名寄せについて、近年ようやくPHR(Personal Health Record)の導入が現実的になりつつあります。将来、医療施設間の情報が共有されるようになれば、重複した検査や処置などの医療費の削減効果も見込めるほか、禁忌薬などのリスク管理上の利点も大きいと感じられます。しかし、安定的な運用が現在の課題であるほか、数多のシステムが相互に連携あるいは統一規格で互換性を持つ必要があります。

<学生セッションについて>
 例年、学生の発表内容も高度になりつつあり、見ごたえの良いものとなってきております。学生セッション内でもAIをテーマにした演題があり、驚きました。
最優秀賞は鹿児島キャリアデザイン専門学校(筆頭演者:向井和希)で、演題名『情報活用を見据えた記録様式の改善提案 ~「ことばの支援センター利用者基本情報」の解析経験を通じて~』でした。データを扱う上で評価者の違いで集計結果に差が出ることに問題意識を持ち、改善しようとしたことは、これからの「情報を使いこなす」診療情報管理士には重要な感覚であろうと思われます。本大会テーマに則した素晴らしい演題発表であったと思います。

学生発表_表彰式

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