上昇病院

「上昇病院シリーズ」の第1弾として紹介するのは、敬和会大分岡病院の医療福祉支援部における営業チームの取り組み事例です。
大分岡病院では、2012年から2014年にかけて3年連続で紹介数が増加しており、2014年度の紹介増加数は、医療圏でNo1の実績を収めています。
今回は、紹介患者数増加の取り組みを行っている医療福祉支援部の営業チームを訪問し、どのような取り組みによって実績が伸びているのかを伺ってきました。

-病院の概要について教えてください。

岡田氏)敬和会では、当院のほか大分東部病院、大分豊寿苑、在宅支援クリニックすばる、おおざい憩いの苑、こいけばる憩いの苑を運営しており、各施設が一体となって医療介護サービスを提供しています。
急性期医療を担う当院では、5つのセンター(心血管、消化器、救急、創傷ケア、サイバーナイフ)を中心とした急性期医療を提供しながら、組織を横断した多職種連携により地域に幅広く貢献しています。

地域の実情を踏まえた訪問施設の選定
-地域連携活動を強化することになったキッカケを教えてください。

深田氏)当院は、人口の減少により医療需要が小さくなることが予想される地域にあります。積極的な投資ができない事情がある中で、規模を縮小する医療機関などが増えてきたことから、手術や検査をお手伝いさせて欲しいとお願いする取り組みを始めました。

-多くの急性期病院で似たような取り組みが行われていると思いますが、他院と差別化していることはありますか?

深田氏)大分は市街地に急性期病院が密集しているので、そういった病院がカバーしていない地域を回ることを心掛けました。また、中核病院が積極的に連携を図ろうとしない施設に対しても分け隔てなく訪問したので、自然と差別化ができていたのかもしれません。

取組の効果が表れたのは半年後
-地域連携の取り組みを始めてからはすぐに効果が出たのですか?

黒枝氏)初めの頃は何も分からず、とりあえず回っているだけという感じだったので、感覚的にも数値的にも効果が出ているという実感はありませんでした。

-効果を実感できるようになったのはいつ頃からですか?

黒枝氏)活動を初めて半年が経った頃です。それまで月平均580件だった紹介件数が700件を超えました。できないと思っていたことができたという経験だったので、すごくうれしかったことを覚えています。

-反対に言うと半年間は手探り状態が続いていたということですか?

黒枝氏)そうですね。ただ、目標はあってもノルマを課されることはなかったので、プレッシャーを感じることは少なかったです。上司とは定期的にコミュニケーションをとっており、基本的には自由にやらせてもらえました。

短時間で良好な関係を築く「2分間営業」
-訪問前にはどのような準備をするのですか?

松上氏)当院は定期的に広報誌を発行しているので、持参するようにしています。また、院内で収集できる情報を出来る限り集めるようにしています。紹介実績のある施設を訪問する際は、紹介を受けた先生に「何か伝えることはありますか?」と聞きますし、初めて訪問する施設の場合、院内に知り合いがいないかの確認を取るようにしています。

-訪問時に工夫していることはありますか?

松上氏)「2分間営業」です。忙しい先生が相手なので、面会時間は2分以内にすることを心掛けています。もちろん、相手の反応によって長くなることはありますが、2分で何を伝えるかということを決めてから訪問するようにしています。

-2分間でどのような話をしているのですか?

松上氏)その時によって違いますが、当院では、提携医療機関をホームページで紹介したり、パンフレットを作成して院内に設置したりする取り組みを行っています。そういったことをさせてくださいというお願いはどの訪問先でも実施しています。

院内での周知活動により協力者を増やす
-場合によっては訪問先で良い反応が得られないこともあると思いますが、どういった対応をとるようにしていますか?

松上氏)営業チーム単独の訪問で成果がでない場合は、医師や役職者に協力してもらっています。

-そういったことに協力してくれる体制があるのですか?

松上氏)取り組みを続けるうちに協力してくれる人が増えました。訪問時の報告資料や営業会議の議事録を送付しているうちに認知度が高まって、今では「資料見たよ」と声をかけてくれる人もいます。モチベーションに繋がりますし、ありがたいです。

-普通は資料が送られてきてもあまり見ない人が多いと思うのですが、どういった資料を送っているのですか?

深田氏)事務的な報告資料では見てもらえなくなるので、関心を惹くような内容にすることを心掛けています。誰かが協力してくれた時は感謝の気持ちが伝わるようにしていますし、ユーモアを交えるといったことも意識的にやっています。たまに怒られてしまうこともあるのですが、見てくれていることの裏返しでもあるので、嬉しい気持ちになります。

より多くの人に自院の良さを伝えたい
-これから先はどのような取り組みを行っていく予定ですか?

松上氏)月800件の紹介獲得という目標を掲げているので、まずはその目標を達成したいと考えています。

-目標を達成するためにどういった取り組みをしていく予定ですか?

松上氏)営業範囲を広げ、市外、県外にも足を伸ばそうと考えています。また、中核病院のある市街地においても、当院の良い部分、特徴をしっかりと伝えることで、選ばれる病院にしていきたいです。
深田氏)当院には、国内でも誇れるレベルの創傷ケアセンターがありますし、心血管センターには循環器医師8名、心臓血管外科3名の常勤医師が在籍しております。特定の分野においては大規模病院と比較しても遜色ない医療を提供しておりますので、そういったことを周知していきたいと考えています。

事務職員にもスポットライトを当てることが大事
-ブログの読者に対して伝えたいことがあればお願いします。

黒枝氏)これまでを振り返って思うのは、自分に特別な能力があったから成果が出たという訳ではないということです。目標を掲げた当初はこんなの無理だと思いましたし、自信を失うこともありました。
ただ、そんな時にパートナーの松上と話をすると、もしかしたらできるかもという気持ちになるんです。松上はいつも前向きなので、私の場合はパートナーに恵まれたことが大きかったと思います。

-そう言われると松上さんが何か特別な能力を持っているのかなと思ってしまうのですが、どうお考えですか?

松上氏)私も他と比べて特別なことをやっているという意識はありません。今でも他の病院ではどういう取り組みをしているんだろうということが気になりますし、良い事例があれば教えてもらいたいです。

-深田さん、最後に一言お願いします。

深田氏)私は、医療職を中心に動いている病院において、事務職員にもスポットライトを当てることが大事だと思っています。当院の地域連携活動がうまく行っているのは、取り組んでいる本人達が自分自身に光を当てていることが大きいと思います。まずは自分が出来ることを実行して、発信して、協力者を増やす。これが出来れば、他の病院でも同じような成果を出せるのではないかと思います。

-本日は貴重なお話をありがとうございました。

病院概要

【施設名】
敬和会大分岡病院
【所在地】
大分市西鶴崎3-7-11
【URL】
http://www.oka-hp.com/

ページトップへ