2016年11月8日
10月18日に、地域包括ケア病棟協会より、
地域包括ケア病棟の機能などに関する調査報告がありました。
当報告では、地域包括ケア病棟を有している、
78医療機関のアンケート結果がとりまとめられており、
病院機能に応じた運用方法の違いなどが明らかになっています。
地域包括ケア病棟の役割を大きく分けると、
急性期から回復期へ移行する患者を受け入れるポストアキュート機能と、
在宅・介護施設等から急性憎悪した患者を受け入れるサブアキュート機能があります。
下記の図で示された看護配置基準を元にクロス集計を行った結果をみると、
10対1以上の病床を持つ病院ではポストアキュート機能が中心となっており、
それ以外の病棟ではサブアキュートとポストアキュートが均衡していることが分かります。
原因として考えられるのは入院経路の違いです。
10対1以上の病床を持つ病院では院内からの受け入れが9割を超えているのに対し、
それ以外の病院では院外からの受け入れが9割を超えていることが分かります。(下図参照)
この結果をみると、10対1以上の病棟を持つ病院の地域包括ケア病棟は、
自院の急性期病棟からの患者を受け入れるポストアキュート機能として利用されているようです。
さて、上記のようなケアミックス型のDPC病院においては、
DPC対象病棟の入院患者が地域包括ケア病棟の入院単価を下回るタイミングで、
地域包括ケア病棟に移す運用が行われていることが一般的です。
上記のような運用が上手く機能すると、
単価と稼働率の上昇に伴い大幅な増収を実現できるため、
地域包括ケア病棟の導入により経営が安定した医療機関も多いのではないかと思います。
一方、地域包括ケア病棟の入院基本料には、
DPC制度における1日当たり点数設定方法のような明確な根拠は示されておらず、
現在の点数が将来に渡って続いていく保証はありません。
DPCの点数は全国平均の出来高収益(医療資源投入量)によって決まります。
DPCの点数が地域包括ケア病棟入院基本料の点数を下回るということは、
地域包括ケア病棟入院基本料が出来高収益よりも高い設定になっているということです。
現在の点数設定は急性期病床を減らし、回復期病床を増やす誘導のためと考えるのが自然なため、
今後どのような制度変革があるのか、変革があった際にどうすべきかを考えながらの運用が重要です。