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地域包括ケア病棟で増収した急性期病院の経営が危ない理由

2020年5月30日

1.遂に診療報酬改定のターゲットとなった地域包括ケア病棟

2020年度の診療報酬改定によって、
地域包括ケア病棟入院料に関する要件の見直しが行われました。

2014年度に新設され、2016年度年には手術・麻酔が包括外となり、
2018年度には上限点数が上がるなどして拡大を続け、
届出病院の6割以上が増収増益を達成したとされる同入院料は転換期を迎えています。

地域包括ケア病棟入院料

2.地域包括ケア病棟の起源は亜急性期入院医療管理料

地域包括ケア病棟の歴史を振り返ると、
2004年に創設された亜急性期入院医療管理料の創設までさかのぼります。

点数や要件は時代の経過と共に変化していますが、
急性期から慢性期への移行、慢性疾患が増悪した患者に対して、
在宅復帰支援を行うといった目的は現在も引き継がれています。

亜急性期入院料

3.亜急性期入院医療管理料時代から存在した2つの指摘

実は、亜急性期医療入院管理料時代の2011~2012年にかけて、
2020年度診療報酬改定に関連する指摘が行われています。

1点目は亜急性期入院管理料が、
自院の急性期患者を受け入れるポストアキュート機能に偏っているという指摘で、
2点目は亜急性期入院管理料を算定するDPC病院は、
DPC点数が亜急性期入院管理料を下回るタイミングで転棟するケースが多いという指摘です。

しかし、当時は非DPC病院に対するデータ提出が要件化されておらず、
情報が不足していることを理由に実態把握の必要性が主張されるにとどまっていました。

ポストアキュート中心

亜急性からの転棟

4.データ提出の要件化によって裏付けられた指摘の正確性

2014年に新設された地域包括ケア病棟入院料では、
データ提出加算の届け出が義務化されました。

その後、届出病院数の増加と共に多くのデータが集まったことにより、
亜急性期入院医療管理時代に指摘されていた内容が改めて問題視されました。

2020年度の診療報酬改定に向けた議論のなかで、
転棟後の点数見直しの根拠として示された資料は、
2011年に提出された内容とほとんど変わらないものでした。

DPC対象病棟からの転棟2020

5.地域包括ケア病棟で増収した急性期病院の経営が危ない

2020年度の診療報酬改定により、
DPC病棟から地域包括ケア病棟に転棟した際の点数設定は、
期間Ⅱの最終日までDPC点数を引き継ぐことになりました。

現時点で影響を受けている病院も少なくないと思いますが、恐ろしいのは次期改定です。

上記の内容で次期改定が行われた場合、
入院期間Ⅱを超えてから地域包括ケア病棟入院料を算定し始めた患者の点数が、
それ以前の点数よりも高くなることが予想されます。

この状況が明るみになると、自院からの転棟に対する要件の更なる厳格化や、
入院料自体の引き下げが行われる可能性があります。

こういったリスクに備えるためにも、診療報酬改定の直前だけではなく、
定期的な情報収集により改定の方向性を先読みすることを心掛けましょう。

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