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医療費の地域格差

2016年10月19日

10月14日に行われた経済財政諮問会議において、
医療費の地域差是正に関する議論が行われました。

厚生労働省が公開している医療費の地域差分析を見ると、
人口一人あたりの医療費が最も高い高知県は65.8万円となっており、
最も安い千葉県と比較すると22.7万円の差があります。

経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)では、
都道府県毎の医療費格差を半減するという目標を掲げており、
会議後の記者会見では首相から対応策を具体化するよう指示が出たことが明かされました。

医療費格差の内訳を見ると、一人当たり入院費の格差(18.4万円)が大きいことが分かります。
厚生労働省が以前より主張しているのは人口当たり病床数との関連性です。

下記の図は、各都道府県の人口10万人あたりの一般病床数と、
一般病床の入院需要率指数(全国平均の受療率=100としたもの)を表にまとめたものです。
これを見ると、人口当たりの一般病床数が多いほど一般病床の入院受療率が高い傾向にあります。

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次に、一般病床の入院受療率と一人当たり医療費の関係性をまとめたものが下の図です。
結果を見ると、入院需要率が高いほど一人当たりの医療費も高い傾向にあるため、
地域格差の要因は人口当たり病床数であるという厚生労働省の主張は正しいようです。

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仮に、人口当たりの病床数が入院受療率を左右しており、
入院受療率の違いが医療費の地域格差を生んでいるとすると、
地域医療構想に基づいて病床数の削減を進める地域では受療率自体も縮小していくと考えられます。

地域医療構想における将来の必要病床数は現在の受療率を元に算出されており、
受療率自体が変化することは加味されていないため、
病床数の削減を進めている地域の方は受療率の推移も注意深く見守った方が良さそうです。

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