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退院患者調査データの使い方 -その2-

2020年6月9日

1.前回のブログについて

退院患者調査データの使い方 -その1-では、
厚生労働省が公開している退院患者調査のデータを用いて、
地域の病院情報と、入院患者の経路情報を確認する方法をご紹介しました。
今回のブログでは、疾患別の入院情報を見ていく方法をお伝えします。

2.入院件数を確認する

退院患者調査の結果を使うと、病院別の入院件数を取得することができます。
下の図は、ある医療圏に所在する各病院の実績を並べたグラフです。
折れ線グラフで表現したシェアの累積値をみると、
入院件数が多い2割の病院が64.5%のシェアを占めているのが分かります。

入院件数シェア

3.入院件数の増減を確認する

退院患者調査は毎年実施されているため、
前年の実績を参照することで入院件数の増減を算出することもできます。

下の図は、横軸が入院件数、縦軸が入院件数の増減を表しています。
A病院をみると、医療圏で2番目に年間入院件数が多い病院である一方、
前年と比較した入院件数の増減をみると減少してることが分かります。

病院全体

4.疾患別の増減を確認する

退院患者調査では、疾患別の情報もみることができます。
前年に比べて患者数が減ってしまったA病院の疾病別実績をみると、
消化器系・循環器系・呼吸器系などは増えており、
神経系・筋骨格系・耳鼻咽喉系などは減少していることが分かります。

A病院疾患別実績

5.地域の動向を確認する

疾患別の患者数が減少するパターンはいくつかあります。
ここからは、A病院で年間入院件数が減少していた、
神経系疾患、耳鼻咽喉系疾患、その他疾患を取り上げます。

まず、神経系疾患では、2017年度に開業したB病院が、
2018年度に入院件数を2.3倍に拡大させたことが、
A病院の入院件数減少に繋がったと考えられます。

神経系疾患

次に、耳鼻咽喉科系疾患をみると、
多くの病院で入院件数が増加しているため、
神経系疾患とは異なる状況であると推測できます。

耳鼻咽喉科系疾患

最後に、その他の疾患をみると、
A病院に限らず入院件数が減少している状況のため、
地域全体の需要が下がっているように見受けられます。

その他の疾患

このように、地域全体の動向を確認してみると、
入院件数の減少要因は必ずしも同じではないことが分かります。

6.おわりに

今回のブログでは、入院件数が減っている病院において、
どの疾患の患者数が減少しているのかを特定した上で、
他病院の状況をみながら疾患毎の減少要因を推察する方法をお伝えしました。

ご紹介した内容は、当サイトの機能を使えば簡単な操作のみで実施できます。
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